小児歯科
小児歯科
Pediatric Dentistry小児歯科について
「子供の歯は虫歯になっても永久歯に生え変わるから、放っておいても大丈夫!」なんて思っていませんか?
実は、この時期にこそ、細心の注意を払っていただきたいのです。
小児期は顎の成長に伴い、乳歯から永久歯へ歯の交換が起こる時期です。この時期の起こったほんの些細なことが、その後の顎や歯の成長に大きく影響し、健康的な発育を阻害することがしばしばあります。たとえば、虫歯や咬合、癖などです。このような阻害因子を早期に発見し、適切に取り除いていくことがお口の健康な発育を促します。
また、お子様が大きくなって、自分一人でお口の健康を保っていくためには子供の頃に正しい知識と生活習慣、ホームケアのテクニック、そして歯医者への慣れを身につけておくことが最適です。小さい頃ですと、素直に身につきますが、反対に、一度身についてしまった誤った健康観や生活習慣をその後変えていくことは極めて難しいからです。現在、「人生100年時代」と言われるようになりました。お子様が成長された頃には、さらにどのような時代が待っているのでしょう。100年生きるとしたら、65歳で総義歯になったとき、その後、決して短くはない35年を義歯で過ごすことになります。義歯の技術はさらに向上していくでしょうが、やはり自分の歯に勝るものはありません。保護者の、さらにその先を生きていかなくてはならないお子様に「健康なお口」を守る力を育てていくことは非常に大事なことなのです。
保護者とかかりつけ医が協力し、予防処置をしつつ、お子様の発達・成長過程を注意深く観察し健康な発育を促していくことがこの時期は何より大切なのです。
乳歯の時期
FAQ
- 赤ちゃんにチューしたらダメなの?
- 生まれたての赤ちゃんのお口の中にむし歯菌はいません。その後、人の唾液を経由して感染します。感染源は主にお母さんと言われています。むし歯菌が、一旦お口にすみつくとほとんどなくすことはできません。
乳歯の奥歯が生えてくるおおよそ18カ月から36カ月までの間は、むし歯の原因となるミュータンス菌が親子感染しやすい「感染の窓」と呼ばれる期間です。 ただし、むし歯菌の場合、感染症のウイルスなどとは違って、「1回口うつしをしたからアウト」「うつったからアウト」ではありません。実際にむし歯になるかどうかは、「甘いものの摂取頻度」「適切な歯みがき」といった生活習慣が複合的に関わることで決まります。
あまり神経質になりすぎることはありませんが、口内環境に気を配る生活を送りましょう。 - こどもはなぜむし歯になりやすいの?
- 生えたての歯は乳歯、永久歯ともにエナメル質(歯の外側の部分。人体で一番硬い組織。)にたくさんの穴が空いており、未成熟で弱いという特徴があります。この穴は唾液に含まれるミネラルをゆっくり取り込み、成熟していきます。ちなみに、この効率をよくするのがフッ素です。また、乳歯のエナメル質は永久歯の半分しかありません。エナメル質の内側にある象牙質、神経はとても弱いため、それを守るエナメル質が溶けて無くなってしまうと、あっという間にむし歯が大きくなってしまいます。
永久歯への生え変わりの時期
生え変わりの順番
永久歯は1→6→2→4→5→3の順に生えてきます。
丈夫な永久歯といえども、生えたての2年くらいはまだ弱く、虫歯になりやすいので、
歯磨きやフッ素塗布、定期検診をしっかり行いましょう。
生え変わりの時期と注意点
6歳頃
乳歯の奥に第一大臼歯(イラスト6の歯)が、1年ほどかけて生えてきます。
かむ力が一番大きな歯で「かみ合わせのカギ」になります。完全に生えるまでの間は、歯肉が歯にかぶっており(イラスト参照)、とても虫歯になりやすい時期です。よく噛まない習慣が、かぶっている歯肉の消失をさらに遅くしているようです。 普通の磨き方ではブラシの毛先が届きません。歯ブラシを口の真横から入れて磨きましょう。シーラントなどの予防処置をとることもできますので、かかりつけ医に相談してみてください。
6~8歳頃
前歯上下8本(イラスト1~2の歯)の交換期です。
前歯は乳歯が抜けて永久歯が生えてくるまでに時間がかかることが多く、抜けた状態の期間が長く続きます。この時期は前歯でうまく噛みきれないため、食べにくいものが増えます。また、舌を前に突き出して飲み込む習慣がついたりしますので、子供の様子をよく見守ってあげましょう。気になることがおありでしたら、歯科医に相談してください。 抜けている歯のところに歯ブラシを入れて、両側の歯を磨きましょう。歯ブラシを盾や斜めにすると磨きやすくなります。前歯の裏側は、歯ブラシのかかとをつかって磨くのがコツです。
9~12歳頃
第一小臼歯、第二小臼歯、犬歯(イラスト3~5の歯)の交換期です。
永久歯の交換に備え、乳歯の根が吸収して短くなったり抜けたりしてかむ力が低下します。噛みにくいので丸のみしたり、好き嫌いが出たりしますので、調理を工夫してあげましょう。また、上顎の永久歯は、第一小臼歯(4の歯)、第二小臼歯(5の歯)、犬歯(3の歯)の順に生えるので、顎が小さかったり、永久歯が大きすぎたりするとスペース不足になって、最後に生える犬歯が「八重歯」になるのです。
気になるようでしたら、早めに受信しましょう。
引っ込んでいる歯や飛び出している歯は、歯ブラシを縦にして歯に当てると磨きやすくなります。
12歳頃
第一大臼歯の奥に第二大臼歯(イラスト7の歯)が生えてきます。
この頃になると、他の永久歯は完全に生え、上下できちんとかみ合うようになってきます。第二大臼歯が2年くらいかけて上下きちんとかみ合う位置まで伸びると、かむための筋肉やかむ力もほぼ大人と同じになります。 「食べたらみがく」という習慣をしっかりつけましょう。磨けない場合は、寝る前だけでも丁寧に磨くようにしてください。一番虫歯になりやすいのは、奥歯の溝です。ここから順番を決めて磨いていくと磨き残しがなくなります。習い事などで忙しくなりますが、3か月に1度は定期検診に行きましょう。
FAQ
- いつまで仕上げ磨きをすればいいですか?
- 小学校低学年までは親が仕上げ磨きをしてあげましょう。生えかわり期は磨きにくいうえに、生えたての歯は弱いので、虫歯になりやすいからです。また、低学年を過ぎても、時々きちんと歯みがきをしているか見てあげてください。成長期で、食べたり飲んだりする機会も増え、親の目も行き届きにくくなります。急に虫歯が増えることもありますので、注意してあげてください。
治療を受ける前のポイント
歯の治療は大人でも嫌なものです。大人に我慢できることでも子供にとっては大変なことです。特に小さなお子様なら尚更のことです。
当院ではそれぞれのお子様の性格を考慮し、根気よく、慎重な治療を受けていただけるよう努力いたします。
恐がることはなく、安心して治療を受けに来てください。